子どもが発達障害の診断を受けて、どうしよう! と不安な保護者のあなたへ。発達障害とは何か、保護者としてまず何をすればいいのか、あなたとお子さんはどうなっていくのか、療育はどうすればいいのか、などをお伝えします。
はじめに
初めまして、私はライター・翻訳者の宇樹義子(そらき・よしこ)と申します。このページを訪れてくださり、ありがとうございます。
お子さんが発達障害の診断を受けてから、今どれぐらいですか? 1週間経っているでしょうか。1ヶ月かな? 3ヶ月や半年ぐらいでしょうか。
あなたのお気持ちは今、どんな感じですか? 焦りや不安でいっぱいですか? それとも希望が見えてきましたか?
私は、30を過ぎて発達障害(高機能自閉症)の診断を受けました。そこからさかのぼって、自分が10年以上さいなまれてきたさまざまな苦しみは、発達障害の二次障害であることを知りました。医師による障害告知のショックから立ち直るのに約半年、そこから自分の特性に合った仕事に出会うのにさらに1年がかかりました。現在はさまざまな支援を受けながら幸せに暮らしています。
この経験から、私はどうにかしてあなたと、あなたのお子さんのお役に立ちたいと願っています。これからお届けする文章が、少しでもあなたとお子さんを笑顔にできますように。
発達障害って?
まず、お知りになりたいのがこれですよね。発達障害って、なんでしょう?
難しい定義はもうあちこちでお聞きでしょうから、まずは私の語彙と経験にもとづいて、日常的な言葉で説明してみます。
凸凹(でこぼこ)した発達をする障害
発達障害※とは簡単にいえば、
「世の中の9割の人とは違った、凸凹(でこぼこ)した発達をする障害」のこと。
具体的に言えばこんなことです。
あるところはまわりの人よりもすごく得意。お絵かきでクラスで1番になって、「Aちゃんスゴイね! さすが!」なんて言われる。でも、あるところはほかの人よりもかなりニガテ。なわとびをいくら練習してもできなくて、ビリっけつ。「Aちゃん、こんなこともできないの!?」と怒られてしまったり、「がんばればできるはずなのに… 教育が悪いのでは?」なんてひどいことを言われてしまうことも…
あるいは、ほとんど言葉が出ないから知能を心配していたら、知らないうちに大量の字を覚えていた、あるときからものすごい勢いでしゃべるようになった、しかも成績優秀、などなど。
私の場合、言葉が出るのは遅かったですが、両親の知らないうちにひらがなを覚えて勝手に絵本を読んでいたそうです。そして、小学校6年のときに塾で、国語で学年1位、算数で学年ビリをとり、二教科平均でちょうど真ん中の成績をとって伝説を作ったことが…
いっぽう、発達障害のない9割の人たちはだいたいの場合、発達にそれほど目立った凸凹(でこぼこ)がありません。基本的には、いろいろな分野の能力が、あまり大きな差を作らずにまんべんなく発達していきます。
発達障害とはこのように、凸凹のある発達をする障害のことをいうのです。
※ここで触れている「発達障害」は、世間的に広く呼び習わされている「発達障害」≒ 軽度発達障害 であるとご理解ください。
※補足訂正 読者の方のご指摘を受けて補足訂正します。発達凸凹とは、「周囲と比べて突出した部分と凹んでいる部分がある」という形の凸凹ではなく、「本人の中で突出した部分と凹んでいる部分がある」という形の凸凹です。ですから、凸の部分が周囲よりも突出している人もいれば、凸の部分が周囲と同程度だったり凹んでいる人もいます。つまり、「発達障害者≒天才」という一般的なイメージは実は誤りです。上記の例では凸の部分が周囲よりも突出した例だけを挙げてしまったため、誤解を招くものでした。お詫びして訂正いたします。
発達障害者は、世の中の9割の人とは違った世界に生きている
もう少し詳しく説明しましょう。発達障害を持つ人には、以下のような問題も持っている人がいます。
- 注意散漫・過集中
- 感覚過敏
- こだわり
- 常同行動
- コミュニケーション障害
- 学習障害
- 読字障害
- 脳・神経系の機能障害からくるさまざまな疾患
※個々の問題についても説明したいのですが、ここでは全体的な説明に集中したいので省きます。申し訳ありませんが、上に書いた問題が気になる方はキーワードにてお調べください。
どんな問題を持っている人にも同じように言えるのは、こういうこと。
「発達障害を持っている人は、世の中の9割の人とは違った世界に生きている。」
たとえば、心地よい風が吹いて、青空は美しいある春の日、世間の9割がたの人が「ピクニックにでも出かけたい!」と思ったとします。そんな中、発達障害の人はさまざまな理由で、そうは思えないかもしれません。
風が肌に刺さって痛い。
空がまぶしすぎる。
人混みがうるさい、臭い。
何かほかに興味をひかれていて没頭したいことがある。
ピクニックという行為を行なう意義が理解できない。
前日までの心身の疲れが残っていて体調が悪い。
また、たとえば、うっすら曇ったなんでもない日、遊ぶ友達もいず、公園でポツンとひとり… 世間の9割の人なら、「寂しいなあ、つまんないなあ」と思うかもしれません。でもたとえば私が子どもだったなら… こんなふうに楽しむことができます。
アリの巣を見つけます。
アリの行列がどこからどこへ続いているのか検証します。
アリたちが触覚を使ってどのように会話しているのか分析します。
水をたらしたりして少し妨害してみて、反応を確かめます。
たまに大きな獲物を持ってきたりするのが面白くて、それを延々待ちます。
合間合間に鳥たちの鳴き声に耳を済まします。
雲の形が変わってゆくのや、木漏れ日の様子を観察します。
夏だとセミの声の分析の楽しみも加わります。
気づくと3時間以上経っています。
大満足で家に帰ります。
発達障害を持つ人はこのように、「良くも悪くも世の中の9割とは違った世界に生きている」のです。
「普通じゃない」ということ、「障害者」ということ
さて、上の部分では、「発達障害者は世の中の9割の人と違っている」ということをお話しました。これってつまり、「普通じゃない」ということです。
診断を受けたとき、あなたも思いませんでしたか?
「ああそうか、うちの子は『普通じゃない』んだ」って…
それは、あなたの中で良いふうに響きましたか? それとも悪いふうに響きましたか?
「普通じゃない」ということは、「普通」より優れているということでも、劣っているということでもありません。ただ、「普通とは違っている」というだけなのです。
そう、ただ、違っているだけ。なのになぜ、あなたの子どもの側だけが、「障害者」と呼ばれなければならないのでしょうか?
ちょっと嫌じゃないですか? 私も発達障害者ですが、私も正直言って、いまだにちょっと割り切れていないところがあります。
これは、単に数の問題です。
先ほど、「発達障害とは世の中の9割とは違った発達のしかたをする障害」と言いました。
社会のしくみは、メンバー数の多いほうに合わせて作られます。衣服も、食べ物も、建物や道路も、学校や会社のシステムも、社会的ルールも。
わかりやすい身体障害を例に挙げましょう。電車の駅などではまずは階段から先に普及します。エレベーターやスロープが普及するのはそのあとですね。それは、階段を自力で上れる人のほうが上れない人よりも圧倒的に多いからです。
この社会のしくみは、たとえるならすべてが「春の青空の日にピクニックに出たくなる」9割がたの人たちに合わせて作られています。この中で「春の青空の日にピクニックに出たくない」1割の人は、不便を強いられることになります。上の例でいうなら、階段を自力で上れない人がいるのにエレベーターがないようなものです。ここに「障害」が発生します。
衣服。9割の人は平気。でも発達障害者にはチクチクして辛いことがあります。
食べ物。発達障害者には味が濃すぎたり食感が耐えられないことがあります。
学校や会社のシステム。凸凹のある発達障害者には適応しきれないことが多いです。
社会的ルール。発達障害者にはわかりにくくて苦痛なことが多いです。
だからこの「普通じゃない」1割の人たちは、「障害者」と名づけられて支援を受ける… 助けを得る必要があるのです。
これは、差別ではありません。むしろ、彼らをこうした辛い立場に追いやった社会の側が、とるべき責任をとっている、ともいえるのです。
発達障害は、治りません
こんなことを言うのは心苦しいのですが、言わなければならないことなので言いましょう。発達障害は、治りません。
発達障害は、病気ではありません。人生のある一時期にかかって、それから治るものではない、ということです。
発達障害は、生まれつきの障害です。人生のうちある数年間発達障害になって、その後は発達障害でなくなる、ということは基本的にはありません※1。
つまり、残念ながら発達障害は治りません※2。一生つきあっていくしかないものです。あなたがお子さんにしてあげられることは、症状や困りごとをできるだけ楽にしてあげる(コントロールする・うまくつきあっていく)ことだけです。
逆に言えば発達障害は、妊娠中のお母さんの精神状態や食事、保護者の方の育て方などの環境によって起こるものではありません。お子さんが発達障害を持っているのは、あなたのせいではありません。いろいろなことを言ってくる人がいると思いますが、どうか安心してください。
あなたはこれから、さまざまな関連情報やサービス、商品に出会うでしょう。その中には、「発達障害が治ります!」と主張するものもあるかもしれません。発達障害を治るとする言説を信じたくなるお気持ちは痛いほどよくわかります。でも、それらのほとんどは残念ながら嘘か誇大広告の類だと心得てください※3。
発達障害は、治らない。コントロールしながら一生つきあっていく障害である。これを覚えておいてください。
※1,2
何かのきっかけで医師による診断が変わるという可能性はあります。しかし、それによって本人の抱える障害特性が変わったり、それによる問題が新たに発生したり消えたりするわけではありません。
※3
症状・困りごとのコントロールに役立ってくれるものはあるかもしれません。中にはQOLを大幅に改善してくれるものもあるかも。しかし、それは障害をうまくコントロールできているだけ。これを「障害を治した」と表現するのは誇大表現だと思います。
診断後の保護者と子どもたちを待ち受ける現状
診断後の子どもと保護者を取り巻く現状と、それへの対処方法について具体的に説明していきます。
診断後のまともな「受け皿」がない!
私は、30過ぎてから成人当事者として診断を受けました。診断後しばらくしてからズドーンと落ち込んで、その後数ヶ月泣きっぱなし。涙が止まらない、なにもやる気がしない、家事は滞る。そんな自分が不甲斐なくて、オットとは喧嘩ばかり。なんとか立ち直るのに半年はかかりました。
詳細はこちらの記事に書いています。
私のお葬式 ―私にとっての障害受容 https://decinormal.com/2016/02/02/funeral/
いま思えば主治医の先生はかなり冷たかった… ケガしたまま道端にポイッと放り出されたような感じで、支援機関などの情報も全て自分でイチから調べました。
Twitterで聞いてみると、お子さんについても現状は似たような感じで、非常に辛かったという体験談が出てくる出てくる… このあたりのことを、相互フォローの「なないお」さんという方が的確にまとめてくださっていました。
結局は支援が充実していないから、診断だけで路頭に迷った保護者が耳障りの良いトンデモに行ってしまうことが多いんだろうなぁ。否認や怒りの時期だと簡単にひっかかりそう。
— なないお (@Nanaio627) February 16, 2016
私の場合、診断を受けたのは私本人で、子どももいなかったからなんとかなりました。しかし、私に小さな子どもがいて、診断を受けたのがそのかけがえのない子どもだったら… 想像しただけで胸が痛くなります。洗濯物の山を前に泣いている私のところへ、子どもが目に涙をいっぱいためて、「ママ、どうしたの? 僕がダメな子だからだよね? ごめんね?」なんて言ってくる様子など想像してみようものなら……
たくさん泣いたというお話、夫婦間にヒビが入ったというお話、思わず泣きながら子どもを殴ってしまったというお話も聞き及びました。ほんとうに他人事と思えません。
日本の現状では、子どもの発達障害の診断後の世界には残念ながらまともな受け皿がありません。代わりに、暗くて大きな穴がポッカリあいているような状態です。
これはなにも、専門家たちの側に悪気があるわけではありません。ともかく何よりも、爆発的に増え続ける需要に対し、専門家の数が圧倒的に足りないのです。
専門家たちも今、懸命になってなんとかしようとしている最中です。しかし、現状あいてしまっているこの穴に、多くの保護者の方が落ち込んでしまう… 追い詰められて子どもを虐待してしまったり、うつになってしまったり、夫婦関係が破綻してしまったり、トンデモ医学や詐欺、カルト宗教に騙されてしまったり。
このように、発達障害児の診断後をとりまく現状はとても厳しいものなのです。
SNSでは多くのピア(仲間)、支援者たちが活動しています!
TwitterなどのSNSでは、この現状を少しでもなんとかしようと、多くのピア(同じような立場の仲間)、ピア支援者、そして専門の支援者の人たちが懸命に活動を行っています。もちろん、私もその中のひとりです。
どうぞ、TwitterやFacebook、また発達障害関連の交流サイトなどで、ピアや支援者の方とどんどん交流してください。ネットがなかった時代には考えられないほどの量と質の情報が手に入るようになります。
私のTwitterアカウントはこちらです。
現在、ピア支援を意識して発達障害関連の情報を中心に発信しています。
https://twitter.com/decinormal1
dicegeist先生のアカウントはこちら。
子育て支援・家庭支援に携わっている臨床心理士の先生で、
療育センターにもいらしたので知識経験が豊富でいらっしゃいます。
https://twitter.com/dicegeist
松本先生のアカウントはこちら。
アナログゲームを使った楽しい療育を提唱していらっしゃる方。
https://twitter.com/gameryouiku
私はほかにたくさんの発達障害児の保護者の方や成人当事者の方などとつながっていますが、それぞれ個人の方なのでアカウントをこちらに記すことは避けておきます。個人の方のアカウントは、私や上記の方のアカウントのTLを覗いていただければすぐにたどれると思うので、試してみてください。
SNS上のピアやピア支援者、支援者の方々とつながり、この厳しい局面を切り抜けていきましょう。
あなたと子ども、これからどうなる? どうしたらいい?
さあ、お子さんが診断を受けたのでしたね。あなたはこうして、一生懸命情報を集めています。さて、これからお子さんとあなたはどうなっていくのでしょうか? あなたは保護者として、まずは何をしていったらよいのでしょうか? 具体的にみていきましょう。
まずは支援機関とつながり、あなたご自身のケアを!
一番最初にやるべきことは、お住まいの自治体の中で、発達障害児とその子育てについての総合的な支援機関とつながって、そこでまずあなた自身が安心することでしょう。意外かもしれませんが、まずは、保護者の方が安心して、心身の健康をしっかり保っていることが何より大事です。
お子さんが何より大事なそのお気持ち、想像に余りあります。でも、あなたご自身が、ショックを受けたり、あちこち走り回ったり、緊張したりのしどおしで、クタクタだったりするのではないですか? まずはどうかそのあなたご自身を大事になさってください。あなたご自身を大事にすることが、あなたご自身が折れずに健康であることが、ひいてはお子さんの幸せにつながるのですから。
発達障害児とその子育てに関わる総合的な支援を行なっている主な公的機関は、現在以下の3つです。自治体によってどの機関がどの分野に特に強いのかが大きく異なっており、この情報を一覧できる情報源は2016年2月現在、残念ながら存在しません(※)。このため、いまのところは個人で問い合わせを行なう以外に方法がなさそうです。
※一覧できるデータベースをどうにかして作ろうという動きは一部で起きている様子です。
- 発達障害者支援センター
http://goo.gl/4avzcU - 児童発達支援センター
http://goo.gl/4IEldY - 児童相談所
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kodomo/dv30/zisouichiran.html
以上の3つのうちのどれかをまず主軸として押さえておくほかに、セカンドオピニオンとして、児童精神科の主治医の先生や、そこの心理士の先生としっかりつながっておくのも大事です。これは、複数の保護者の方がおっしゃっていたことでした。
まずはあなたご自身のケアを再優先に支援機関とつながりながら、児童精神科の主治医や、そこの心理士の先生にセカンドオピニオンを頼みましょう。
どこの支援機関も予約がとりづらい! 少しでも気になったらまずは相談先の確保を
残念ながら現在のところ、どこの支援機関も非常に予約がとりづらいということを覚えておいてください。自治体にもよりますが、相談の予約は1ヶ月や数ヶ月、ときには半年待ちというところもあります。
ですから、診断がなくても、療育を受けることが決まっていなくても、お子さんの発達のことについて少しでも気になること、不安なことが出てきた時点で、相談先の確保に動くことが大事です。
(診断を受けてビックリなさっている方には、これは「先に教えておいてよ!」っていう情報ですよね… ほんとに同感です。ここは自治体や国が動くべきですよね)
自治体の1歳6ヶ月児健診や3歳時健診の時が、小児科医師や保健師さん(+いれば、心理士さん)の意見を「予約せずに」聞ける数少ないチャンスです。
これを過ぎても電話で申し込めばたぶんいつでも相談を申しこめたりしますし、保健師さんに聞きそびれたり/何も言われなかったとしても、直接専門機関に相談の申し込みをすることもたぶんできたりします。
専門家の人たちも、なにも悪気があって利用者たちを待たせているわけではありません。彼らも現状で彼らのできることを精一杯やってくれているのです。それでも保護者にとっては、わが子のいまの1日がかけがえのないもの。予約の日を待つ1日1日がじりじりと焼けるように感じられるのではないでしょうか。
このため、Twitterなどでの保護者たちの一部では、「気になってからとか診断を受けてからでは遅すぎる。早い時期から、たとえば妊娠中のうちからでもいいから、全員対象で療育関連の情報提供を行なうべき」という意見も出ています。
相談先探しはともかく早め早めを意識しましょう。
あなた自身が個人としてカウンセリングを受けるのもひとつの手
上記の専門の支援機関とつながったうえで、あえて発達障害(児)という分野を離れたところで、あなた自身が個人としてカウンセリングを受けていくこともひとつの手です。詳細はこちらの「発達ナビ」さんのQ&Aの中で、療育の専門家でいらっしゃるdicegeist先生が回答していらっしゃいます。
https://h-navi.jp/community/questions/22990
ご存じですか? 最近は「Skypeカウンセリング」というカウンセリングサービスも増えてきています。Skypeカウンセリングは、Skypeという、ネット回線と最低限マイク※さえあれば使える無料のネット電話を使ったカウンセリングサービス。料金の支払いは振込やクレジットカードなどで行なうので、いっさい家から出ずに利用できるものもあります。
※マイクとカメラは最近のノートPCにはたいていついていますし、ついていない場合も外付けのセットを数千円で購入できます
子どもの手が離れなくて出かける余裕がない、という方には、家でPCの前に座るだけで受けられるタイプのカウンセリングはかなりの救いになるのではないでしょうか。たとえ海外にお住まいでも、日本とほぼ同じ条件でカウンセリングが受けられます。「Skypeカウンセリング」でネット検索してみてください。女性のカウンセラーが女性専用に提供しているものも多いです。
ただし、カウンセラーの質は玉石混交なのが現状。カウンセラーの先生を選ぶときにはプロフィールをよく読み、きちんとした資格・経歴を持っている、口コミの評価が高いなど、信用できそうな人を選ぶようにご注意くださいね。
このように、あなたが個人としてカウンセリングを受けていくことも視野に入れてみましょう。今は以前では考えられなかったような選択肢もとれるようになっています。
療育開始にあたっての手引き
「療育開始にあたっての手引き」にあたる総合的かつ入門的な解説は、dicegeist先生という方が非常に丁寧にブログにまとめていらっしゃいます(上でも紹介しましたし、引用もしました)。療育に関して、いつ・どこで・どうやって・なにを始めたらいいのかが、非常にわかりやすく網羅されています。現在のところ、ここまで詳しく具体的・網羅的な情報は他にないと思われます。ぜひご参照ください。
「発達障害と診断されたらどんな療育を受けるといいか」問題 http://dicegeist.hatenablog.com/entry/2016/02/18/015608
小学校から先の支援
小学校から先の支援についての詳細は、発達障害児の保護者でいらっしゃる「なないお」さんがブログにまとめていらっしゃいます。ご参照ください。
放課後等デイサービスなど小学生も通えるの療育と、地元情報の探し方 http://nanaio.hatenablog.com/entry/2015/02/10/151911
その他のTips
困りごとは積極的に開示を
Twitterで耳にしたのが、「支援機関側には、子どもに専門家として見ていて気になる様子があっても、保護者の側が『困っている。助けて』とはっきり意思表示してこないことに関しては安易にタッチできない事情がある。だから、保護者の側は困りごとについてはどんどん開示していったほうがいい」という話でした。
私がこの話を聞いて思い出したのは、職を転々としていることに悩んで「ジョブカフェ」という若年者向けの就職についてのワンストップサービスセンターを利用していたときのエピソードです。
ある職業カウンセラーと話をしていたときに、「あなた、何か作業するときにはタイマーかけたりして時間を区切ってやるのよ。放っておくといくらでも集中してやっちゃうタイプでしょ?」と言うわけです。びっくりして、「なんでわかるんですかw」と言ったら、「わかるわよー!」と言われて。
このときは自分が発達障害だなんて自覚していなかったので、観察眼の優れた人もいるもんだなと感心していたのですが、数年後に診断がおりてから、「ああ、あの人は知識があって私の傾向を見抜いたけど、立場上はっきりと発達障害という言葉を出すわけにいかなかったんだ、だけど実践的なアドバイスだけはしてくれたんだな」と思ったのでした。
おそらく、発達障害の支援機関でも似たようなことが起きているのだと思います。だから、あなたは困りごとがあったら、「うちの子のこんな様子について困っている。専門家として助け・アドバイスが欲しい。お願いします」と、どんどん頼みましょう。支援者は、あなたとお子さんを支援するためにそこにいるのですから。
できないことより、できることに着目を
ほかに聞かれたのが、「できないことよりもできることに着目してくれる人たちの言葉に救われた」という意見でした。
お子さんを「天才」とまで思う必要はありません。でも、冒頭近くの、「世の中の9割とは違っているだけ」という表現をもう一度思い出してください。
お子さんは、みんなと同じような世界の見かた、みんなと同じような生きかたはできないかもしれません。でも裏返して考えれば、「みんなと違った世界の見かた、みんなと違った生き方ができる」とも言えるのです。
同じ世界を見せられて、ひと味違った世界を見、ひと味違った人生を送ることができる。それがあなたのお子さんです。
お子さんを見るときにも、あなた自身を見るときにも、できないことよりもできることに着目してみましょう。きっと少しだけ気持ちが明るくなりますよ。
あなたとあなたのお子さんは、素晴らしい人
あなたのお子さんや、あなたご自身について、それはそれはいろいろと、好き勝手なことを言ってくる人たちがいるでしょう。
かわいそう。
しったかぶり。
可愛くない。
子どもらしくない。
母親の妊娠中の食事が悪かった。
親の心がけが悪かった。
親の育て方が悪かった。
母親の愛情が足りなかった。
そんな言葉たちは、ぜんぶ適当に受け流しましょう。跳ね返してしまいましょう。みんな事実無根です。真に受ける必要も、受け取る必要もありません。あははーそうですねー! と口だけ言っておいて、心の耳はふさいでしまいましょう。
大丈夫、世の中で少なくとも私だけは、あなたとあなたのお子さんのことをちゃんとわかっていますから。あなたとあなたのお子さんは、かけがえのない素晴らしい人。なんの罪もありません。あなたたちが今苦しんでいることに関して、あなたたちご自身には、なんの責任もないのです。どうか覚えておいてください。
苦しいときにはお声がけください
私は心理の専門家ではありません。ほかに仕事もある、ただのいち素人です。でも、ひとりのピア(似たような立場にある)支援者として、できるだけあなたの役に立ちたいと思っています。
もしどうしても苦しいときは、Twitterやメールでお声がけください。ピア支援者として、日常生活の中でできる範囲で、できる限りお話をお聴きしますし、知りうる限りの情報を提供申し上げます。
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メール
soraki.yoshiko+decinormal◎gmail.com
(◎を@に置き換えてください)
死にたいぐらいつらいときは
そういうときは、こちらの記事をご参照ください。毎日、たくさんの方に読んでいただいています。
きょう、死にたいあなたへ※あなたがもし子どもなら、こっち↓をよんでね。 「死にたい」と検索してここに来てくださったあなたへ。 まずは、あなたが死んでしまう前...
おわりに
長い文章をここまでお読みいただきありがとうございました。あなたとあなたのお子さん、そしてご家族のご健康とご多幸を心よりお祈り申し上げます。