ブラジルのサンバやベネチアのマスク、派手な山車などの印象の強いカーニバル。その起源や歴史についてまとめてみた。
カーニバルとは
カーニバルとは、毎年2月ごろに行われる祭り。謝肉祭とも。ごちそうを食べてどんちゃん騒ぎをする。派手な仮装や山車、踊りなどが出し物となるため、世界各地の歌や演劇、ダンスなどの発展に大きく貢献した。キリスト教やヨーロッパ土着の宗教行事の影響を受けている。
現在では、特に宗教的背景のない、仮装や山車などの出し物がある華やかで陽気な祭り一般のことをカーニバルと呼ぶこともある。
カーニバルの起源・由来・歴史
カーニバルはもともと俗ラテン語で、carnem(肉を)+levare(取り除く)を意味する。
キリスト教的な由来
カーニバルはキリスト教的には、四旬節(※)の節制や断食を前に肉を食べきるという意味があった。カーニバルはドイツ語で「ファスナハト」だが、ファストは断食、ナハトは前夜祭(英語でいうイブ)で、「断食前夜祭」という意味である。
※復活祭(イースター)の前の1ヶ月半ほどの期間のこと。キリスト教徒はこの時期、キリストの受難を思い起こして節制の日々を送る。
キリスト教的な背景が濃いものの、現在のキリスト教ではカーニバルは公式の祭りとはされていない。
土着宗教的な由来
カーニバルの起源が、ゲルマン人が春の到来を祝い、農耕神サトゥルヌスを奉じてどんちゃん騒ぎをする農耕祭「サートゥルナーリア祭」にあるという説もある。
サートゥルナーリア祭はもともとは冬至の後(12月後半)ごろに行われ、主人と奴隷が役割を入れ替えて騒ぐものであった。この期間だけは奴隷が主人に口ごたえするなどの無礼が許された。皆が帽子をかぶり、ごちそうを食べて騒ぐなどした。
カーニバルの要素のうち、階級や身分の差を超えて皆が自分を開放し、大いにどんちゃん騒ぎをする、という部分はこうした土着宗教的なものが大きく影響していると思われる。
カーニバルというとよくイメージされるベネチアン・マスクは、こうした無礼講を気兼ねなく楽しむために大いに役立ったとされる。
一説には船をかたどった山車であるcarrus navalis(車・船の意)がカーニバルの語源とも言われるが、「肉を取り除く」の意味のほうが起源的に古いとも言われる。
カーニバルのさまざまな別名
カーニバルには、ドイツの「ファスナハト」に限らず、地域や言語によりさまざまな別名がある。四旬節の開始日である「灰の水曜日」の前日に終わる祭りなので、「火曜」の意味を持つものも多い。
- マルディグラ(仏語で「肥沃な火曜日」)
- シュローブ・チューズデー(英語で「告解火曜日」)
- パンケーキ・デイ(英語)
シュローブ・チューズデーは、四旬節を前にキリスト教徒が自分の罪を悔い改めるために告解(懺悔)する習慣があったために生まれた呼び名だ。パンケーキ・デイは、四旬節を前に卵を使いきるためにパンケーキを焼いて食べたところから来ている。