節分にヒイラギ、イワシ、豆を使うのはなぜ? 悪魔退治の世界スタンダードとは

この記事の所要時間: 619

毎年2月頭、立春の前日は節分だ。節分には鬼退治に「ヒイラギ、イワシ、豆」を使うが、こうした魔除けは実は日本独特の感覚ではなく、世界に広く共通して存在するものだ。調べたことをまとめておきたい。

スポンサーリンク
レスポンシブ(レクタングル大強制表示)

節分の鬼退治グッズ「ヒイラギ、イワシ、豆」のパワーの秘密

日本の(春の)節分では、鬼退治グッズとしてヒイラギ、イワシ、豆が使われる。これらのものはなぜ鬼退治に力を発揮するとされてきたのだろうか。今に伝えられている話を私が総合すると以下のようになる。

ヒイラギ

・常緑樹であり、ほかの樹々が葉を落とす冬にも青々としているため、強い生命力を喚起させる

・葉に鋭いトゲがあり、触るとケガをすることもある

イワシ

・昔の人にとっては魚は異形の存在であり、それ自体に魔力があるとされていた

・いぶすと、臭くて目にしみる煙が出る

・種なので、強い生命力を喚起させる

・硬いので投げられたものが当たると痛い

「自分が何かよからぬことをしてやろうと思って人里に忍び込んだ鬼だとして、こんなふうなもので出迎えられたらそりゃあ寄りつきたくなくなるよなあ」と想像できるようなものばかりだ。これが、ヒイラギ、イワシ、豆が節分の鬼退治に使われる理由だ。

節分の鬼退治グッズは、世界の「魔除けスタンダード」に準拠していた

実は、節分のヒイラギ、イワシ、豆の持つ「生命力を喚起させる」「ケガをする形状」「においがある」といった要素は日本の節分だけが持つものではない。これらは、世界各地の魔除けグッズに共通する「魔除けスタンダード」ともいえる要素の一部なのだ。

世界の「魔除けスタンダード」とは

世界の魔除けスタンダード要素は、だいたい以下のような感じに整理することができる。

・音のするもの
・におい・薬効のあるもの
・異形のもの、宗教的モチーフなどの精神的圧迫感を与えるもの
・怪我するような形状・性質のもの
・強い色のもの
・動物の骨・角・歯・結石・内臓など
・金属・鉱物・鉱石類 
・生命力を想起させるもの(種、球根、生殖器など)

個々のグッズはそれぞれが1個だけの要素を満たすわけではなく、複数の要素を満たすこともある。もちろん、より多くの要素を満たすものほど魔除けパワーはアップする。

世界の魔除けの例

ニンニク

吸血鬼の退治に使われるニンニクは、「におい・薬効のあるもの」であると同時に、球根であるので「生命力を想起させるもの」でもある。「吸血鬼にはニンニク」が日本人である私たちさえが知るほどに普及したことには、ニンニクが私たちに根源的に与える「いかにもパワーが強そうだ」という印象が関わっていそうだ。

ナザールボンジュウ

「異形のもの、精神的圧迫感を与えるもの」というと、トルコの「ナザールボンジュウ」という、多数の目をかたどった魔除け・アクセサリーが思い浮かぶ。人間が何かからじっと見つめられると嫌なように、悪魔もきっと嫌だろう、といった発想なのだろう。

銀のアクセサリー

金属はもともとパワーの強い鉱物などを「魔的な力で」合成したものと捉えられていたので、非常に魔力が強いと考えられていたようだ。たとえば「キラキラした宝石を埋め込んだ銀の十字架」などは、「銀×宝石×十字架(精神的圧迫)×キラキラ(まぶしくて目が痛い)」となるので、それはそれはパワーが強かろう。

ハーブ・スパイス

ハーブやスパイス類は、みな「におい・薬効のあるもの」であり、古来から多くが魔除けに使われてきた。特にタイム、ローズマリー、セージ、クローブ、ジュニパー、アンジェリカ、フランキンセンス、ミルラなどはポピュラーだ。ポマンダー(練り香やオレンジにスパイスを刺して乾燥させたもの)やサシェ(ハーブやスパイス類を小袋に入れたもの)、香油、薬用酒などとして使われてきた。昔ながらのこうした魔女的な呪術を現代において実践する宗教のことを「ウィッカ」や「ウィッチクラフト」という。このあたりは非常に強く腐女心をそそられるが、ハマると抜けられなくなるので注意だ。

ヒイラギ

ヒイラギが魔除けとして使われるのはもちろん日本だけの話ではない。日本のヒイラギと西洋のヒイラギは別種ではあるが、「冬にも葉を落とさない常緑樹」「鋭いトゲがある」という点で、どちらも古くから魔除けに使われてきた。クリスマスリースにセイヨウヒイラギが使われることがあるのも、イエスの誕生を祝う時期に冬の魔が悪さをしないように、との魔除け目的だと言われている。

「魚をいぶして悪魔退治」のお話は西洋にもあった!

魚をいぶして悪魔を退散させる、というお話は日本の節分だけのようにも思われるが、実は同じような逸話が聖書の「トビト記」に記されている。大天使ラファエルが魚の内臓をいぶして煙を出し、美しい女性サラに取り付いていた悪魔アスモデウスを退散させたという話だ。

大天使ラファエルについて詳しくは以下の過去記事に書いている。

私は精神障害(発達障害)を持つクリスチャンだ。あるとき、聖ラファエル(大天使ラファエル)の守護分野に「精神障害者」があるのを知って興味を持っ...

「魚をいぶした煙を臭くて嫌だと思うのは昔の聖書の世界の人も同じなのだ」と思うと、なんだか少しほっこりするのはきっと私だけではないだろう。

いろいろな魔除けを楽しんでみよう

世界には数えきれないほどの多様な魔除けがある。この記事で紹介したのもごくごく一部だ。紹介しなかった魔除けについて、今後また補足を行ったり、別記事で書いたりするかもしれない。

新しい魔除けを目にしたときには、この記事で挙げた「魔除けスタンダード」のどこを満たすのか満たさないのか、あるいはまったく別の要素なのか、照らし合わせてみると面白いかもしれない。

Digiprove sealCopyright secured by Digiprove © 2018 Yoshiko Soraki
スポンサーリンク
レスポンシブ(レクタングル大強制表示)

フォローする

もっとたくさんの人に届けたい!と思ったらクリックで投票を→ にほんブログ村 メンタルヘルスブログ 成人発達障害へ

<<免責事項>> 宇樹は、 1.当ブログで発信する情報の正確性・最新性を保証することができません。 2.リンク先の内容の正確性や適法性、その他いっさいについて責任を負えません。 当ブログは読者さまの責任においてご利用くださいますようご了承お願いいたします。

スポンサーリンク
レスポンシブ(レクタングル大強制表示)