成人発達障害者向けSST・LST・ビジネスマナー関連本レビュー集

この記事の所要時間: 721

発達障害児者にとってSSTは有効だと言われているが、現在普及しているSSTプログラムは子供向けのものが多く、成人向けのものが少ない。自宅で気軽にSSTを学ぶことのできる成人発達障害者向けSST関連本についてのレビューをまとめておきたい。

スポンサーリンク
レスポンシブ(レクタングル大強制表示)

SSTとは

まずSSTについて、定義や説明を引用しておく。太字は宇樹。

SSTとは“Social Skills Training”の略で、「社会生活技能訓練」や「生活技能訓練」などと呼ばれています。小児の分野では「社会的スキル訓練」、教育の分野では「スキル教育」とも呼ばれます。
SSTは認知行動療法の1つに位置づけられる新しい支援方法で、対人関係を中心とする社会生活技能のほか、服薬自己管理・症状自己管理などの疾病の自己管理技能に関わる日常生活技能を高める方法が開発されています。近年わが国でもその効果が認められ、1994年4月「入院生活技能訓練療法」として診療報酬に組みこまれました。
現在では、医療機関や各種の社会復帰施設、作業所、矯正施設、学校、職場などさまざまな施設や場面で実践されています。家庭や職場訪問など地域生活の現場での支援も行われています。精神障害をもつ人たちをはじめ社会生活の上で様々な困難を抱えるたくさんの人たちの自己対処能力を高め(エンパワメント)、自立を支援するために、この方法が広く活用されることが期待されています。

一般社団法人 SST普及協会 – Japanese Association of Social Skills Training (JASST) – 

SSTといえば発達障害児、というイメージも一部にあるものの、もともとは発達障害や精神障害に限らず、「社会生活上さまざまな困難を抱える人たち」全般のためにある各種の技能訓練がSSTだと言えそうだ。

成人発達障害者がSST本に触れることが重要な理由

発達障害を対象としたSST(ソーシャル・スキル・トレーニング)といえば残念ながら現時点で子ども向けのものが大半だ。成人向けのものはとても少ない。

SSTを行ってくれる施設は現在基本的に大きな都市にしかないので、地方在住の人はなかなかこういったプログラムを受けることができない。また、成人ともなると二次障害が出て、外出や集団での活動がうまくできなくなる人も出てくる。だから成人発達障害者向けのSSTは「在宅で・自分で」学び、実践してみるという方法をとることが必要だ。このとき、成人向けSST関連本が大きな助けとなってくれる。

成人発達障害者向けSST・LST・ビジネスマナー関連本レビュー集

というわけで以下、「成人 SST」「発達障害者 ビジネスマナー」「発達障害者 働く」などのキーワードでAmazon検索した結果見つけたものの中から、個人的なレビューをまとめておきたい。

職場のルール(しっかり守らなければいけないルール)とビジネスマナー(社内の円滑なコミュニケーションを目的とする)の違いを説明するくだりがとてもわかりやすかった。制服のある会社に私服で出勤するときにもある程度きちんとした服装が必要な理由、身だしなみが必要な理由などといった、皆があえて説明しないところをわかりやすく説明してくれるところがとても安心だ。

巻末についている支援者・職場の人向けの解説は、周囲の人が読むのにかなり役に立ちそう。

ただ、最低限の言い回しで端的に説明がされているので、なんでも字義どおりに解釈しがちなASDの人にとっては、これ一冊の言うことだけに忠実に従うのでは限界がある場合もあると思う。できれば支援者や職場の人とこの本を共有して微調整をすることが理想だろう。

上のビジネスマナー集への反響を受けて企画された本。仕事を安定して続けていくためには生活管理や金銭管理、余暇活動など、社会生活全般を安定させることが大事だとして、社会生活についてとても丁寧にまとめられている。この発想は本当に心底共感できるもので、私は自分が20代で仕事しながら一人暮らししていた時期にこの本に出会えていればどれだけ良かったかと思った。

第1章では、多数挙げられた実際のケースから知的障害者・発達障害者が社会生活上学んでおくべきこと、支援者が知っておきたいことが詳細に語られている。第2章では、一人暮らしをするにあたって知的障害者・発達障害者にとってはつまずきがちだが普通に生きている限りは改めて体系的に教えてもらえることのない情報がここぞと詰め込まれている。第2章の内容は、定型発達の人でも改めて読んでみるとなるほどと思わされる内容も多いだろう。

ビジネスマナー集と同じで、支援者・職場の人向けの解説もついている。

挙げられている10のケースが本当にわかりやすく、当事者も周囲の人も納得ができそうな内容だ。特に、アロハシャツにこだわりがあって職場に毎日アロハシャツを着ていき、職場に派手なものは… と上司が苦言を呈すると次の日少し地味なアロハシャツを着ていった、という話が「なるほど! あるある!」だった。

最終章の、発達障害の人の世界観を疑似体験して知るという内容が秀逸かつ充実している。周囲の人は助かるし、当事者はそうそうそうなんだよと癒やされそう。個人的には全方面にイチオシだ。

発達障害者支援の有名なNPO、えじそんくらぶ編の本。

第2章では「トラブルを防ぐマイルール・マイスタイルを作ろう」として、職場で自分の心身を安定させて乗り切るための具体的な方法がとても丁寧に書かれており、すぐにでも簡単に実践に移せそうなのがいい。

第3章では発達障害人が職場でなんとか適応していっている実例をストーリー仕立てで紹介しており、第4章ではQ&A形式で発達障害者の不安に答えるという、読み終えるころにはかなり安心感や心強さが得られるような内容だ。個人的には2番めにおすすめ。

どちらかというと職場の人や、職場に発達障害者をつなぐ支援者の立場の人にとって便利な本。本の中には発達障害者本人に語りかけるような文面もあるものの、8割がたは職場の人に「このように理解・支援するとよい」と具体的に説明する内容だ。診断名ごとに分けたり実際のケースを挙げたりして丁寧だし、そもそも発達障害とはといった基本知識も網羅されているので、知識がない人もこれで身につけることができる。

個人的には、発達障害者を受け入れる立場の人には、「大人の発達障害 アスペルガー症候群、AD/HD、自閉症が楽になる本」と合わせてぜひ1冊持っていてほしいものだと思う。

これは完全に支援者向けの内容だ。集団で行うグループワークやロールプレイの内容が、すぐに実践できるように具体的かつ詳細にたくさん紹介されている。

ライフスキルトレーニング(LST)はSSTの一歩進んだ概念で、社会生活上必要なスキルだけでなく、「人生をサバイブし、かつ豊かに生きるためのスキル」を学ぶものだ。青年・成人向けのLSTの本は現時点でおそらくこれだけなので(逆に言えば子ども向けはたくさんある)、成人向けのLSTについて知識として知っておきたい人は読んでみても良いと思う。

気に入ったものから試してみて

SSTを一人で本を読んで学んだり身辺で実践したりするぶんには、たとえ失敗しても、実際にグループワークに出向いたりするのと違って、それほど傷ついたり疲れたりしないで済む。少ないリスクで新しいチャレンジができるところが本を使ってSSTを学ぶことの強みなので、気に入ったものから気軽に試してみてほしい。

Digiprove sealCopyright secured by Digiprove © 2017 Yoshiko Soraki
スポンサーリンク
レスポンシブ(レクタングル大強制表示)

フォローする

もっとたくさんの人に届けたい!と思ったらクリックで投票を→ にほんブログ村 メンタルヘルスブログ 成人発達障害へ

<<免責事項>> decinormalにて発信する情報はできるだけ正確・最新で価値のあるものであるよう、最大限努力しています。しかし、宇樹はこの正確性や最新性などを保証することはできません。また宇樹は、リンクで紹介するサイトなどの内容の正確性や適法性、その他いっさいについて責任を負えません。ご利用者さまがdecinormalをご利用になった結果受けたあらゆる損害について、宇樹は責任を負えません。decinormalはご利用者さまの責任においてご利用くださいますよう、あらかじめご了承のほどお願いいたします。

スポンサーリンク
レスポンシブ(レクタングル大強制表示)