【発達障害者の片づけ・収納1】払込書とかをもう失くさないためのヒント

この記事の所要時間: 153

注意散漫傾向を持っているADHDやADDなどの発達障害者にとって、公共料金の支払や役所関連の手続きなどはとてもハードルが高い。手続きを忘れるだけでなく、関連の書類を失くしてしまうのだ。一人暮らしだとしょっちゅう不注意による未納のために電気やガスを止められるという人がいる。対処法・対策をまとめた。

スポンサーリンク
レスポンシブ(レクタングル大強制表示)

大事なモノをいろいろ失くしがちな生活…

「人間らしい」生活を失くす

ADHDやADDなどの発達障害で注意散漫があると、いろいろなモノを失くす。電気・ガス・水道といったライフラインの払込書や、年金やら税金やら住民票、運転免許がどうとかに関する手続きの書類も失くす。結果、生活は明日何が起こるかわからない不安定なものとなる。返事しなければならない手紙や、お返ししなければならない贈答もなかなか返せない。こうなるとストレスで注意散漫によけいに拍車がかかる。

自己肯定感は下がるし、体調は崩す。仕事でもプライベートでも信頼や人間関係にヒビが入る。ASDのコミュニケーション障害もなかなかに辛いが、ADHDやADDのこうした注意散漫傾向も、社会生活に大きな支障を及ぼす。

苦しみながら探り当てた対処法を共有したい

私の診断は高機能自閉症で、自閉傾向に加え、ADDのような過集中・注意散漫傾向がある。実家時代はモノやストレスが多すぎる環境から逃れられなかった。確定診断も受けていなかったため、それはそれは生活がめちゃくちゃだった。昼夜逆転、部屋は散らかり放題、支払いや手続きはしょっちゅう忘れる。ライフラインを止められる経験をしないで済んだのは、すべて誰かが払っていてくれたからというだけだ。自分で払わなければならなかった国民年金は何年分か設けられている追納の時期さえも過ぎてしまい、未納となっている時期が数ヶ月ある。当然、まともに働くこともできなかった。

モノやストレス多すぎる環境を離れ、診断を受けてエビリファイを飲み始めたところ、生活は劇的に「まとも」になった。それからは手続きや払込の先延ばしはほとんど起きておらず、部屋は基本的に整頓されている。自己肯定感も大きく上がり、在宅ながらほぼフルタイムで仕事ができるようになった。この過程で自分なりに編み出してきた対処法を紹介したい。

前半では基本的な対処法を紹介する。しかし、生活能力低下の裏に、対処法を知るだけではどうにもできないほどの強い特性や症状、ストレス過多な環境が存在している場合、服薬や治療、専門的な支援も必要だ。前半の2項を読んでみて「これは自分には実行できない」と思ったら、後半の「現状で一人では対処できない場合」を読んでみてほしい。

「自分の処理能力に合った環境」を作る

モノの絶対量を減らす

まず最も大事なのは、自分の情報処理能力の限界量を把握すること。そして、その範囲内に収まったと感じるまでモノを減らすことだ。

発達障害者の情報処理能力、特に短期記憶の処理能力には限りがある場合が多い。モノを持ち、整理整頓し、清潔・安全かつ使いやすく保つというのは、生活の知恵うんぬんというよりも情報処理の問題だと捉えたほうがよい。

モノも脳にとっては情報だ。たとえ定型発達者であっても、本人の処理能力を超えたモノを持てば部屋は散らかり、ケアレスミスは増え、生活の質は低下するはずだ。情報処理に問題を抱えている場合の多い発達障害者ならなおさらだろう。

自分に注意散漫があるとか、収納・片づけが苦手だと考える人には、基本的にダンシャリアン(断捨離をする人)になることをおすすめする。根気よくモノを取捨選択して減らしていけば、いつか、自分の処理能力とモノの量が釣り合う地点に到達するはずだ。それがそれなりにモノの多い環境となるのか、ミニマリストのようにPCと机とイス1つに布団一組しかない、という環境になるのかは、その人の特性や個性、住んでいる街の状況にかかっている。

私は実家を出て現在の居所に移ってからは喜々としてダンシャリアン生活をしている。少し暇ができると「いらない子はいねが〜 捨ててもいい子はいねが〜」と目をギラつかせて部屋をうろついている。自分でこれを「断捨離なまはげ」と呼んでいる。

「とりあえず見た目だけきれいに」はやめる

残念だが、「見た目だけでもきれいに片づけよう」という意識は捨てよう。定型発達者でさえ、モデルルームのように片づいた部屋というのはハードルの高い夢だ。発達障害者からすれば、まずはその部屋をなんとか「人間らしい生活のできる部屋」に持っていくことが第一のハードルとなるだろう。

人間らしい生活というのはここでいえば、電気・ガス・水道といったライフラインがケアレスミスによる滞納のために止められたり、もらえるはずのお金がもらえなくなるといったようなことが起きない生活のことだ。

家は生活する場所であって、使いやすくなければならない。使いやすいというのは、出し入れしやすいということ。出し入れのしやすい収納をするには、「アクション数」という概念を意識する必要がある。

部屋に置いてある引き出しを開けて何か出した場合、1アクション。扉のついたクローゼットを開け、その中にある引き出しを開けて何か出した場合は2アクションだ。アクション数が少ないほど、モノは片づけやすく、使いやすく、失くしづらい。アクション数が上がるほどものは片づけにくく、使いにくく、失くしやすくなる。

だから、散らかっている部屋に焦る→ とりあえず適当な収納の奥深くにゴチャゴチャをぎゅうぎゅうに突っ込んで見た目だけすっきりする→ よし片づけた! というやりかたはできるだけ避けよう。家のあちこちに「魔窟」が完成することになる。魔窟には魔物が住んでいる。こうなってしまうと一筋縄では退治できない。

見た目を整えることに労力を割くのであれば、いまとりあえずどこかに押し込もうとしているゴチャゴチャのうちで捨てることのできるものはないか、捨てられないのであれば捨てられるようになるためにはどんなことが必要かを考えることに労力を割こう。

断捨離について少しだけ心得ておく

今回初めて調べたのだが、断捨離は「やましたひでこ」氏の登録商標らしい。ヨガの行法をもとにしており、生活を整えることで心も整えることを目的とする。

ダンシャリアンの中には断捨離に宗教的なほど入り込んでいる人もけっこういるが、別に断捨離のそういう部分までがっつり心に取り入れる必要はないと思う。モノが溢れがちな現代社会の中で必要なものを取捨選択してすっきり暮らすためのひとつの上手な方法論として、いいとこどりだけすれば良いと思う。

断捨離についてよくわからない人には、ある程度ネットで検索するか、1冊ぐらいわかりやすい入門書を手に入れておくことをおすすめする。本を買うなら1冊でいい。断捨離関係の本を何冊も何冊も買ってさらにモノを増やしてしまうのは本末転倒だ。

↓わかりやすいムック本。これは本屋でパラパラめくったが入門書としてとても良いと思った。

↓「片づけられない」人だった主婦が大きく生活や人生を変えた実例を複数収録。実例がいろいろ見たい人はこっちが良いと思う。

↓確かこの人は断捨離という言葉は使っていないが、「心がときめくモノだけ残す」という、どちらかというとメンタル方向からのアプローチに断捨離系の潮流を感じる。あまりの人気に翻訳され、海外でも大人気を博した本だ。

家全体のモノを減らすための具体的なコツについては長くなるので第二弾以降でお届けする。今回はとりあえず、困っている人が非常に多いと思われる「ポストに入る重要書類をどう処理するか」の応急処置だ。

郵便物は「玄関開けたら2秒で処理」

「置く前に処理」がカギ

払込書や事務手続き系の重要書類を失くさないためには、「ちょっとそのへんに置く」前に処理してしまうことが最大のカギになる。というのも、注意散漫タイプの多くが「ちょっと置く」とそれは永遠になるからだ… あっ…(ブーメランが胸に刺さる音)

だから、それらを処理する場所は自ずと「玄関、またはその付近」となる。

  1. 外出先から帰ってきて、ポストやドアポストに入った郵便物を手にとる
  2. 玄関ドアを開けて部屋に入り、ドアを閉める
  3. できれば一歩も動かずにバッグだけをそのへんに置き、片手に持ったままの郵便物の処理を始める。

一歩も動かないのは、動くと注意散漫タイプは必ず無意識に、手に持っているものをひょいとそのへんに置いてしまうからだ。あっ…

玄関開けたら2秒で処理」だ。

重要書類・その他書類・いらない書類 に分ける

各種料金払込書、役所の事務手続き系のものなど、期日までに対処しないと「人間らしい生活」が成り立たなくなる、または多大な失礼・迷惑となって人間関係に著しい悪影響をきたすようなものを「重要書類」と位置づける。

ゆっくり読むなどとりあえず取っておきたいものは「その他書類」。対処もあとで見ることも不要で即捨ててもかまわないものは「いらない書類」とする。

玄関に入った時点で手の届く位置に(詳細は後述)、ワンアクションで投げ込めるタイプのファイルかレターボックスを2つ、ゴミ箱を1つ用意する。そして、重要な書類・その他書類をそれぞれファイルかレターケースに、いらない書類をゴミ箱に放り込むシステムにする。図のような感じだ。

2016%e5%b9%b410%e6%9c%8810%e6%97%a512%e6%99%8247%e5%88%8618%e7%a7%92

ハサミやレターオープナーも、必要であればそばに用意しておく。「その他」と「いらない」の区別のために、封を切って確認する必要があることもあるだろう。対応としてはこれがベストだ。ただし、封を切って確認するのにはわりと手間がかかるので、それが億劫になって続かないぐらいなら、とりあえず未開封で「その他」に突っ込んでおくシステムにすれば最低限OKだ。

本当は重要書類も、払込書は払込書で、手続き系は手続き系で、手紙類は手紙類で、と分けるとより良い。期限日よりも早めに払込をするようにスマホでアラームやメモを設定するとかもできるならベストだ。というかそもそも、払えるお金はあるのに滞納してしまう癖のある人は、一度機会を作って銀行やクレジットカードによる引き落としの手続きをとればそれで一発解決なのだ。

しかし、そういった「そもそも」がなかなかうまくできないから、滞納で電気・ガス・水道が止まるという事態にまで発展するのだ。生活全体が時間に追われ、常にプチパニック状態にあり、書類一枚を取り寄せる、電話を一本かける、銀行でハンコを一個打つ、といったようなことができない状況に陥る人は多い。ほかならぬ私も冒頭に書いたとおりだった。

ベストを目指さず、まず「少なくとも重要書類を失くさない」を目指そう。そうすることで、「今度こそ早めに納入しよう→ 納入書が見つからない→ 億劫になって遅れる→ いよいよ納入しなければならなくなる→ やっぱり納入書が見つからない→ 再発行の手続きが必要→ あああもういいや… 電気・ガスは滞納50日ぐらいまでは止まらないらしいし→ 忘れる→ ある日突然ライフラインが止まる」という地獄のスパイラルを途中で食い止めることができるようになるだろう。

使えそうな収納グッズ

「玄関開けたら2秒で処理」に使えそうな収納グッズを紹介する。

↓こちらはマチつきの封筒型クリアファイル。

↓スチール製の玄関ドアであれば、上のようなクリアファイルにこのようなマグネットプレートを貼って固定すればとても使いやすいし省スペースになる。釘や粘着剤を使わないので賃貸でもOK。

上の2つは、中身をある程度溜めてしまってもドサッとこぼれたり落ちたりしてテンションがダダ下がりする→諦めてしまう という状況の起こりづらいものを紹介している。ただし、溜められるタイプだと限界まで溜めてしまって仕分けしている意味がなくなるという人は、あえて普通の片側のあいたマチなしクリアファイルに入れ、中身がこぼれる前に処理する習慣をつけるのも手だ。

↓平置きのレターケースは中身が一覧しやすいので便利だが、場所をとるという難点がある。

↓縦型のファイルケースはレターケースよりも場所をとらないが、中で柔らかい書類がグシャッとなって見つかりづらくなるリスクはある。また、レターケースもファイルケースも、うっかり中身がこぼれてそのへんに散らかるというリスクがある。

以上、自分の特性や環境に合ったケースを見つけてほしい。

↓玄関ドアにいろいろ貼りつけてひとつの収納壁にする方法は非常におすすめなもののひとつだが、それがかなわない場合や、玄関先にちょうどいい収納スペースがないという人は、突っ張り棒で固定するタイプの、ネットなどでできたパーティションを活用する手をおすすめする。通行の邪魔にならず、かつ絶対に通るところに設置して、フックでいろいろ引っかけて壁面収納にする。釘を使わないので賃貸でもOK。

現状で一人では対処できない場合

病院の治療を受ける

ある程度以上注意散漫や生活時間のズレ、抑うつ気分、無気力などの症状が強く、「心がけ」の範疇ではどうにも対処できない場合は、速やかに心療内科や精神科の治療を受けよう。

しなければならない何かがどうしてもできないのは、あなたが「だらしない」とか「ダメ」とか「情けない」からではなく、制御しきれないほどの症状や特性に支配されてしまっているからに過ぎない。周囲はなんのかの言うかもしれないが、あなた自身が病院での治療が必要だと思うなら、堂々と病院の門を叩いていい。

逆に、あなた自身が「自分の心がけが悪いからだ」と思っているのに周囲が病院に行くことをすすめる場合は、あなたが無理しすぎている可能性がある。すでに相当な苦しみを感じているはずだから、そういった苦しみを少しだけ楽にする目的のためだけでもいいから、一度病院に行ってみてほしいと思う。

支援を受ける

危険な環境から逃れる

あなたの今暮らしている家庭の環境があまりにストレスフルで、安心して眠ることさえできないほどである場合、その生活は文字通り毎日がサバイバルだ。安定的に少し先の未来を見据えてきっちり手続きしたりするような余裕などない。私自身もそうだったが、こういう場合はまずはできるだけこういった環境から離れ、心身安全に暮らせるようになるための方策を練ることをすすめる。各種シェルター、法テラス、自治体の無料相談など、支援を受けられるだけ受けよう。恥じる必要はない。あなたがだらしないのではなく、あなたが人よりも多くの重荷を背負わされているだけなのだ

発達障害専門の支援を受ける

基本的な環境は安全であっても、一人で上記の対処法を完遂できる自信がない場合は、(発達)障害者専門の支援を受けよう。各自治体にはそれぞれ「障害者就業・生活支援センター」「発達障害者支援センター」が置かれていて、発達障害者の生活支援をしている。法的には障害者手帳や確定診断がなくとも、生活上で障害レベルの困りごとがあると本人が感じている場合には全て無料でサービスを利用できる。

障害者就業・生活支援センター一覧(pdf)
http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11600000-Shokugyouanteikyoku/0000126377.pdf
発達障害者支援センター一覧 
http://www.autism.or.jp/relation05/siencenter.htm

私は、特に障害者就業・生活支援センターの人にものすごくお世話になった。障害者手帳取得のためのもろもろの手続き、就労支援施設の見学なども含め、書類記入や役所への送り迎えなど快く隅々まで手助けしてくれて本当に心強かった。

障害者〜と発達障害者〜のどちらがあなたの望んでいる支援に強いか、またスタッフさんの人の質は自治体による。最初はドキドキするだろうが、彼らは自治体ごとに我々のような人たちの支援をするために働いているのだから、堂々と連絡をとったらいい。私も(また傷つけられるのではないかと)警戒心丸出しで連絡をしたのだが、最初から「大変ですね、喜んで支援しますよ」という感じで、嬉しくて泣くかと思った。

こうしたプロの支援を受けるのでもいいし、信頼できる当事者同士で集まってピア支援のようなことをするのもいい。私自身、余裕ができたらそういうことをしてみたいという気持ちがある。

第二弾は家全体の収納・片づけ

第二弾は家全体の収納・片づけについてお届けする予定だ。お楽しみに。

Digiprove sealCopyright secured by Digiprove © 2016 Yoshiko Soraki
もっとたくさんの人に届けたい!と思ったらクリックで投票を→ にほんブログ村 メンタルヘルスブログ 成人発達障害へ

<<免責事項>> decinormalにて発信する情報はできるだけ正確・最新で価値のあるものであるよう、最大限努力しています。しかし、宇樹はこの正確性や最新性などを保証することはできません。また宇樹は、リンクで紹介するサイトなどの内容の正確性や適法性、その他いっさいについて責任を負えません。ご利用者さまがdecinormalをご利用になった結果受けたあらゆる損害について、宇樹は責任を負えません。decinormalはご利用者さまの責任においてご利用くださいますよう、あらかじめご了承のほどお願いいたします。

スポンサーリンク
レスポンシブ(レクタングル大強制表示)

フォローする

関連コンテンツユニット(PC)
スポンサーリンク
スポンサーリンク
レスポンシブ(レクタングル大強制表示)