【不定愁訴】筋肉や姿勢による不調は理学療法士に頼るのがいいかも

この記事の所要時間: 1058

発達障害者は筋力が弱かったり、姿勢のバランスが良くなかったりすることが原因で不定愁訴に見舞われることが多い。宇樹は長年悩んできた身体のアンバランスが理学療法士(PT)による指導で大幅に改善したので、ぜひ一度理学療法士に会うことをおすすめしたい。

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理学療法とは

理学療法とは何かの定義については確かなところの引用が間違いないだろうから引用で済ませておく。(太字は宇樹)

理学療法とは病気、けが、高齢、障害などによって運動機能が低下した状態にある人々に対し、運動機能の維持・改善を目的に運動、温熱、電気、水、光線などの物理的手段を用いて行われる治療法です。
「理学療法士及び作業療法士法」第2条には「身体に障害のある者に対し、主としてその基本的動作能力の回復を図るため、治療体操その他の運動を行なわせ、及び電気刺激、マッサージ、温熱その他の物理的手段を加えることをいう」と定義されています。
理学療法とは – 公益社団法人 日本理学療法士協会

法的には、理学療法士が理学療法を行なうには「医師の指示のもと」である必要がある。だから理学療法士の最も基本的な姿というのは、病院などの整形外科のリハビリ室づきのリハビリのお兄さんお姉さんだ。

理学療法士(PT)に出会うまでの長い道のり

不定愁訴のデパート

私は発達障害の特性のせいか昔から不定愁訴のデパートのようだった。ひどい月経困難症(いま思えばこれは子宮内膜症のせいだ)、肩こりと片頭痛。筋力がなくて、胃下垂によるぽっこり下腹や血行の不良もあった。

小さなころは姿勢がくにゃくにゃだとよく注意された。すぐ疲れて姿勢が崩れてしまう。発達障害者にはこういう人が多いらしい。体幹の筋肉が弱いのだそうだ。

発達障害発覚と医療系専門学校通学

20代後半には不調をなんとかしたくて、明らかなトンデモを含む代替医療をおおかた通り過ぎた。30になった頃、最終的に最もまともそうだった鍼灸と漢方にたどりついたところで、初めて発達障害が発覚した。

なら開き直って手に職つけるしかないよな、そうだ、あはき師(鍼灸あんまマツサージ師)をとろう! となった。それで2011年の4月に医療系専門学校に入学したのだが、ご存じのとおりその1ヶ月前には東日本大震災があった。実家の家族関係は震災により破綻し、私は地元を離れた。休学の手続きをとったが、数年後に学校の制度が変わって半永久的な休学ができないことになり、やむなく退学した。

たった1ヶ月専門学校に通っただけだったが、私はそのときには「やっぱり身体を触らせるなら国家資格者でないと」と思うに至る知識を得ていた。カイロプラクティック・整体などをうたう、無資格者による死亡事故もよく耳にしたので、もう無資格者の施術は怖くて受けられないと思った。

そこから、筋骨格系の不調を感じたときには接骨院・整骨院(国家資格である柔道整復師による施術)または鍼灸(あんまマッサージ)院に通うようになった。

柔道整復師にかかっても治らない痛み

満足して整骨院や鍼灸院に通うようになって5年ほど。左膝に痛みを感じるようになった。最初は近所の整骨院に通って柔道整復師の施術と指導を受けていたが、1ヶ月たっても大してよくならない。整形外科に行こうかなと言ってみても、「別にたいしたことしてくれないですよ」みたいに言うので少し不信感を覚えた。知り合いに愚痴ったところ、「整形外科で理学療法士のリハビリを受けたほうがいい」というアドバイスをくれた。

この人は病気の後遺症で理学療法士による指導を受けて、彼らの技術にたいへんに感激したとのことだった。「柔道整復師は骨格の専門家。専門家ではあるけれど、身体の静的な状態での機能までしか診られない。理学療法士は筋肉の専門家。動いている間の身体のこと、機能面のことまで診ることができる」とも言っていた。

 理学療法士との出会い

ショックと出会い

そこで、リハビリ室がついていて確実に理学療法士のいる整形外科に駆け込んだ。医師にレントゲンをとってもらうと、なんと「変形性膝関節症」の診断。大ショック。それあれやん。おばあちゃんとかがなるやつやん。軟骨は一度すり減ったら一生回復しないんだったらいま30代の私やばいやん。

ガーンガーンとショック状態で理学療法士さんに会うと、「確かに軟骨は戻りませんが、ごく初期です。周囲の筋肉の使い方を改善することで痛みをなくし、進行を食い止めることも十分できます。一緒に頑張ってリハビリして改善していきましょう」と説明してくれたので安心した。

すごい技術力に驚く

歩いてみてと言われるので歩いてみせると、じーっと見てから「蹴り出したあとに足首の関節がこう倒れてこう戻っていっている」などと細かく説明してくれる。ベッドで脚を曲げたり伸ばしたりすると、動かしている間に筋肉を触って「ここの筋肉は伸びきる直前に働くべきなんだけどそのタイミングで働くことができていない」「膝上がこっちに回旋して膝下が反対に回旋してバランスをとろうとして、結果足首がこうなる、ほら、この状態では問題ないけど、ここをこうしたときにこっちに力が入っていない」などなど… 柔道整復師の先生に言われたことのないようなことばかりで、とてもびっくりした。本当に「動いている間の身体」を見ている。

言われたとおりのトレーニングを少しやってみると、その場で痛みが大きく改善するので驚いた。これほど細かく見てくれるのであれば頑張ってこの人の指導に従おうと思った。

効果爆上がり、モチベーション爆上がり

最初は1週間ごと、落ち着いてきたら2週間ごとの間隔で通い続けたのだが、刻一刻と症状も体型も良いほうに変わっていくので驚いた。

思春期から20年ぐらいずっと悩んでいて、「これはもう持って生まれたもので改善が見込めない」と思っていた大きな垂れ尻、体重のわりに太い太もも、曲がった脚のラインが、どんどんスッと整い引き締まっていく。それと並行するように痛みもとれていった。これでモチベーションが下がるはずがない。美容目的だけで見ても、これほど効率のいいエクササイズはない。毎日毎日、理学療法士さんの指導のとおりにリハビリを続けた。みっともなくて履けなかったスキニーパンツが履けるようになった。

理学療法士さんは毎週、ここがこういうふうに使えていないから、こうしてこういう姿勢をとってこういう動きをするトレーニングをしてください、と細かく細かく指示をくれる。身体というのは本当に繊細なバランスで動いているのだといちいち感激した。

膝に影響している足首、骨盤が順繰りに整い、重心がうまくとれずに痛かったほうの脚でもふらつかずに片足立ちできるようになって、リハビリも終結に向かった。

リハビリ終結とその後のステップ

今回でリハビリ終結ですねーという日、理学療法士さんは私の頭を触り始めた。「実は気になっていて… アゴなんですけど…」と言う。

食いつく私。「ですよね! そうなんですよ! 私噛み合わせが深すぎるんですよ! ほら!」と、イーッとしてみせる。ああやっぱり、という反応。

アゴの動きに問題があり、頭・首・肩のあたりの筋肉バランスが狂って、結果的に背筋優位で腹筋をあまり使わない状態になっており、最終的にそれが脚の重心のとりかたにも影響しているとのことだった。ちなみに私の噛み合わせは過蓋咬合といって、こういうのだ。

(写真)過蓋咬合、顎関節症が気になり、矯正をした場合の費用を知 – 矯正方法・費用 – 専門家プロファイル

やっぱりぃいいい!? と言うのもつかの間、顎関節部分を押さえられながら公衆の面前で繰り返しアイーンをさせられるという羞恥プレイが開始した。まあこれくらいの羞恥プレイは大したことない。

私片頭痛があって、首のレントゲンとったらストレートネック通り越して逆の湾曲になってるって言われたんですよ。片頭痛は必ず左からで、あと右の肩ばっかり凝って… というと、ああそうでしょうねそうでしょうねと。左のアゴ周りの筋肉が収縮してるので、バランスをとろうと右の肩が凝るとのことだった。

整形外科以外で理学療法士の指導が受けられる!?

実はアゴの話はずっとしたかったのだが、整形外科の理学療法士は法律上、医師の指示のもと、痛みのある部位の相談しか受けられない。ほかの患者さんも待っているだろうし、膝のことで来て保険診療内の料金しか支払わないのにアゴのことを相談するのは悪いから、今まで言わなかったのだ。

その話をしたうえで、「痛みがないと基本的にはここでのリハビリ受けられないんですよね? 痛みがないけど身体のバランスを整えたいとかいうとき、たとえば自費で理学療法士さんに指導してもらう方法ってあるんですか?」と聞くと、「実はもうすぐ、土日とかに自費の範囲で開業しようかと思ってるんです」と教えてくれた。なにそれ! まさにそういうの求めてたんですよ! と食いつくと、「あとしばらくで詳細が決まるので、今度リハビリ室に電話ください」ということだった。

ちなみに、アゴを整えてもらったらいつも開けづらかったアゴがスッと開くようになり、しゃべりにくさや呼吸の詰まった感じもよくなった。そして何より肩こり首こりがよくなった。これは片頭痛の頻度も経るかもしれない。

理学療法士の有資格者は、「ボディケア」の範囲であれば合法で開業できる

へえー! と喜びいさんで家に帰ったが、まさか違法だと困るのでさっそく調べた。それでわかったことは以下。

  • 理学療法士の有資格者が「理学療法」を行なうには、「医師の指示のもと」である必要がある。
  • 医師のもとでなく独自に開業する場合、「理学療法」やそれに類する、医療行為と混同するような専門用語を使った名称のサービスを提供するのはNG
  • 開業する場合も、理学療法やそれに類するサービス名を使わなければ、肩書として「理学療法士」を名乗るのはOK

つまり理学療法士の有資格者は、サービスに「ボディケア」「ボディバランス」「整体」うんぬんという、リラクゼーション系の範囲のサービス名を冠するかぎりは、理学療法士としての肩書や専門知識・技術を活かして開業ができるということだ。

試しに「理学療法士 ボディケア」でGoogle検索してみると、かなりたくさんヒットした。おそらく、これに住んでいる市町村の名前を入れると、近所の該当の店がヒットするだろう。もちろん、これらで行われているのは医療行為ではなくリラクゼーション行為なので、かかったときには全額自費で支払う必要があることは注意。

どうも理学療法業界でも開業はひとつの大きな動きになっているようで、「理学療法士 フリーランス」「理学療法士 開業」だと理学療法士向けの情報もいろいろヒットする。

筋肉や姿勢による不調は理学療法士に相談するのがたぶんベスト

身体の筋肉のどこかがいつも凝るとか、どうしてもすぐに姿勢が悪くなるとか、そのためにいろいろな不定愁訴が出ているという場合… 大きく身体を良いほうに変えるいちばんの近道はたぶん、理学療法士の指導を受けることだと、素人ながら私は思う。

どこかに明らかに痛みがある場合はまず(リハビリ室のある)整形外科に行けばいいし、理学療法士が開業している店に行った場合ももし医師の診察・治療が必要なときは整形外科に行けと言ってくれる。

身体の筋力の弱さや癖で不定愁訴に悩み、その頑固さに諦めかけている発達障害者も多いと思うが、もし良ければ近所の理学療法士に会いに行ってみてほしい。きっと損はしないはずだ。

※記事の内容は医療に関しては素人の発達障害当事者が個人的体験のもとで推測を書いているもので、医療的・法的に正しい保証はありません。この記事を読んで行動したすべての結果に対し、当方は責任を負えません。何か実行する場合には自己責任の範囲でお願いいたします。(知識として誤りがあった場合、そのご指摘には応じます)
医師にもニセ医学的な人がいるように、医療の専門家である理学療法士の中にもニセ医学的な人がいる可能性はあります。資格の権威のみで相手を信じてしまうのではなく、個々人の発言の正当性をよく精査してください。そして、少しでもおかしいと思ったら素早く距離を置くようにしてください。
Digiprove sealCopyright secured by Digiprove © 2016 Yoshiko Soraki
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