トンデモ・カルトな「自称支援者」、悪徳商法や詐欺から身を守るための対策5ヶ条 ―東日本大震災・熊本地震のケースから

この記事の所要時間: 1250

東日本大震災から5年ほどのタイミングで起きた熊本地震。東日本大震災のときに横行した詐欺や悪徳商法などに関する情報がシェアされる中、現在進行形で似たような状況が再演されつつある。今回は「野良ボラ」という用語も生まれた。支援者を自称する不届き者の被害から身を守るにはどのような対策をとっておけばよいのだろうか。

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他人の災難につけいって利を得ることをもくろむ輩は常にいる

本当に嘆かわしいことだが、誰かが災害や事故、病気、障害などの災難に巻き込まれたとき、そこにつけいって何かしらオイシイ思いをしようと企む不届きな輩は常に一定数いるようだ。

彼らは、いかにも困っている人を助ける心優しく親切な「支援者」であるかのように装ったり、無害で気の毒な被災者を装ったりする。そして相手に近づき、うまく操ったうえでいろいろなものをかすめとっていく。あるいは混乱に乗じて明らかな犯罪を働く。

彼らがかすめ取っていくのは財産やお金だけではない。被害者やその関係者の心の自由や健康、尊厳までも奪うこともある。

東日本大震災で確認された悪徳商法、詐欺行為、犯罪など

Wikipediaによると、東日本大震災後には主にこのような悪質商法や詐欺行為が確認された。

  • 点検商法
    電気・ガス・水道や家の屋根壁などを点検すると称し、点検・修理代として料金を請求したり、金品を売りつけて利益を得る商法。
  • 騙り商法
    権威のある企業・団体の名前などを騙り、料金を請求したり金品を売りつけて利益を得る商法。
  • 募金・義捐金詐欺
    被災地に募金すると言って集めた金を募金せず、自分のものにするなどの詐欺。

点検や騙りについては、なんらかの作業員を装った者が空き巣や強盗に入るなどの被害もあった。
「難民申請して外国での永住権を得るための手伝いをする」といって料金を騙し取る詐欺や、男が計画停電で泊まるホテルがどうなるかわからないからといってある女性の家に泊まり、その女性をレイプするという事件も。

被災者の不安につけこみ、トンデモ医学・トンデモ科学的な世界観で被害者を洗脳して怪しい商品やサービスなどを売りつけるなどのインチキ商法も横行した。

トンデモ科学的な悪徳商法についてはこちらのまとめも壮絶だ。

危険を煽る人たちと震災復興と「ネットワークビジネス」 - Togetterまとめ
http://togetter.com/li/937876

また、「日本人は災害時にも秩序だって行動する素晴らしい人たち」という主に海外からの評価とは裏腹に、街では食料やガソリン、金品を奪う窃盗や強奪事件も多発したし(これは生き延びるためにやむを得ずのケースと、利益を得ようとしての2種類があったと思われる)、避難所を中心に強姦や強制わいせつ事件などの性犯罪も多く起こった。

熊本地震で問題視されている状況

熊本地震で改めて名づけられ、問題視されているのが「野良ボランティア」、通称「野良ボラ」だ。名づけたのは電気通信大学准教授の佐藤賢一氏。

定義はまだはっきりと定まっていないが、おおよそ以下のような感じで使われている様子。

  • 公的に募集されているボランティア名簿への登録のないボランティア(専門性の高い人は除く)
  • 自治体や地元住民の指示や要求に基づいて動くのではなく、自ら主導権をとろうとするボランティア
  • ボランティアと自称して詐欺行為や悪徳商法、犯罪などの機会をうかがうボランティア
  • 情報収集や対策が不十分なまま現場に乗り込もうとし、かえって救援・復興活動の妨げになるボランティア
  • SNSの情報や自分の感情に振り回され、現地のニーズから外れた、あるいは迷惑になる物資などを送付するボランティア

2016年4月25日の時点の佐藤氏の発言によると、仮の定義はこれだ。

その時々の状況下でイレギュラーな行動に走ってしまうボラ

つまり、「発生している状況に対してイレギュラーな動きをするボランティアの人・団体」といったところになるだろうか。

災害が発生しているときには、そのときの状況に応じて、最も優先的にあたらなければいけない支援の内容が変わってくる。急性期にはともかく人命救助、被災者たちの当面の衣食住の確保、それ以降には被災者たちの心身の健康のケアや、被災に際して発生する各種手続きの支援など。

被災地の支援で大事なのは、この再優先すべき支援の動きを「少なくとも邪魔しないこと」だ。この重要事項を落とし、現地で統率がとれないような動きに走り、結果的に支援活動の妨げとなったり、場合によっては積極的に悪事を働いたりしてしまうのが野良ボラというわけだ。

熊本県御船町では、町長が安易に野良ボラに大きな権限を与えてしまい、大問題となった。以下のまとめは佐藤氏によるもの。

異常事態:御船町支援 - Togetterまとめ 
http://togetter.com/li/963483

熊本地震でも野良ボラ、自称カウンセラーなど怪しい自称支援者がのさばりはじめている

佐藤氏は、これからメンタル面の支援が求められる被災地で、東日本大震災のときと同じようにカルト的商法などによる被害が出ることを危惧している。

↑一度信頼させてから不安を煽るようなことを言い出し、「これを解消するためにはこのサービス・商品を」などと怪しい商売に取り込んでいくやりかた。これらは、「カウンセラー」「カウンセリング」が自由に名乗れることを悪用して権威づけしただけの、実質はカルト商法だ。

↑小倉謙氏、内海聡氏はトンデモ医学・反医療の双璧ともいえる二人。この二人ばかりでなく、同じような人たちが全国でこのような講演会などを行なっている。この状況を止めようとしている人たちが草の根的に管轄の自治体などに働きかけているが、いたちごっこの状態。

こちらのまとめでも詳しい話題が展開している。

#熊本地震 民間ボランティアとネットワークビジネスの気になる関係 - Togetterまとめ 
http://togetter.com/li/966190

「自称支援者」の悪影響から身を守るための対策5ヶ条

1.人を肩書きや所属でなく中身で判断する

これが最も大事なことのような気がする。多くの人は、良くも悪くも人を肩書きや所属によって判断しがちだ。しかし、不届きな輩はこういった人の心理を悪用しているのだ。

「○○医大名誉教授・医学博士」などと聞くと、つい「わーすごい!」となってしまって判断が鈍ったりしていないだろうか? 

大学教授や医学博士など社会的権威のある医学の専門家だからといって、良い医師とは限らない。詐欺を働いたり患者から搾取したり、無能だったり、はたまたトンデモ医学を信奉したり反医療的な発言を行なったりする医師や医学の専門家のニュースを、あなたもいくつかは聞いたことがあるだろう。相手が社会的権威のある肩書きを持っているからといって、安易に信頼してしまうことは避けよう

いっぽうで、「○○カウンセラー」と聞いた瞬間に、「インチキに違いない!」と決めつけて、その人本人の質を見ようとせずシャットアウトしてしまう、ということがないだろうか。

確かに、カウンセラーはなんの資格がなくとも自由に名乗れる肩書きだし、国家資格がなくては名乗れない肩書きと違って、怪しい輩が混ざりがちなことは確かだ。試しに「カウンセラー」という表現の入る肩書きで仕事をする人が持っている可能性のある資格を、国家・公的・民間資格問わず列挙してみたら、私が少し調べただけで30個程度あった。これだけでもわけがわからないのに、これらの資格を1個も持たないでも名乗れる肩書きが「カウンセラー」なのだから、これはかなりのカオスだ。

また、職務上、人の心という形のないものを扱うものであるために、トンデモやカルトの入り込む隙間も非常に大きい。ネットを見ていても確かに、世の中には無数の怪しい「○○カウンセラー」が跋扈していると実感する。「カウンセラーと聞いたらまずは全員疑ってかかる」、こういった態度は非常に大事だろう。

しかし、だからといって、「カウンセラー=(全員が)インチキ」と決めてかかるのもこれは危険な態度だ。医師の中にも常に一定数の素晴らしい医者と不届きな医者が併存しているように、カウンセラーの中にも常に一定数の素晴らしいカウンセラーと不届きなカウンセラーが併存しているのだ。

これは、どんな肩書きを持つ者の中にも、常に一定数ずつ素晴らしい者と不届き者がいる、という確率問題であって、「医師は全てがインチキである/信頼できる」「カウンセラーは全てがインチキである/信頼できる」という2択問題ではない。

人を肩書きによって全否定したり全肯定したりする態度は、相手にとっても自分にとっても不利益となりうる。これが偏見へと育っていって相手を根拠なく貶めてしまったり、自分にとって必要だったかもしれない助けの手を拒絶することになってしまうのがひとつ。もうひとつ非常に重要なのは、自分の目で人の本質を見て判断する力が育たないというリスクだ。

肩書きに左右されないようにしよう。相手がどんな肩書きの人であっても、きちんと疑いつつ、きちんとその人の本質を見るために目をしっかりと開いていよう。「全員をまず疑ってみる」という懐疑的態度と、「全員をまず否定してかかる」という偏見的態度は、似て非なるものであることを理解しておこう。

2.何かを断言する人のことはまず疑ってみる

何かを断言する人のことはまず疑ってみる態度も大事だ。

トンデモやカルトの中には、非常に明快な言葉遣いで何かを断言する人がいる。これは多くの人にわかりやすく、情熱的で説得力があるように見えるので、これに騙されてトンデモやカルトを信奉するようになってしまう人も多い。

科学では、確実に検証のできないことは絶対に断言しないし、1で言ったような確率問題については必ず厳密に確率問題として語る。この態度は比較的多くの人にとってわかりづらく、簡単で明快な答えを探している人にとってはまだるっこしく感じられるようだ。しかし、自分が騙されたくないのであれば、こうした考え方・語り方に慣れておくことが必要だ。

断言口調を疑うのは、他人に対してだけではない。自分の考えの中にも断言口調がないかを常に観察していよう。たとえば、1に書いた中にあるような、「カウンセラーは全てがインチキである」という考えは、それ自体がトンデモやカルトが好むような断言口調である。

もともとはトンデモやカルトを避けたくてものを考えていたのに、自分がまさにそのトンデモやカルトのような考えや物言いをしてしまうことはぜひ避けたいものだ。

なにを隠そう、トンデモやカルトの中には、もともとはこういったごく普通の警戒心や猜疑心、正義感から発信や活動を始め、途中で過激化しておかしくなってしまったタイプも多い。だから、まずは彼らと似たような思考や物言いを避けて過ごすようにしよう。

トンデモ・ニセ医学・科学についての詳細はこちらの拙記事に書いている。(Cotiradは宇樹の別のペンネームである)

危険な「ニセ医学」にだまされないで! 
覚えておこう、家族から幸せと健康を奪う「ニセ医学」の4つの特徴 | mamanoko(ままのこ)
https://mamanoko.jp/articles/10936
私がニセ科学を嫌いな理由
http://decinormal.com/2015/09/08/mock_medicine/

3.常に詐欺や悪徳商法、カルトなどについての情報収集を行なう

詐欺や悪質商法、カルト活動などが多発すると、国民生活センターや該当の自治体といった公的機関が情報を発表する。普段からこういった情報に触れる癖をつけておこう。いざというとき、「あ、これはもしかしてあのときに見聞きした手口の詐欺かな?」と当たりがつけやすくなる。

自然災害に便乗した悪質商法にご注意ください(注目テーマ)_国民生活センター 
http://www.kokusen.go.jp/soudan_now/data/s_saigai.html
災害に便乗した義援金詐欺にご注意! / 熊本県 
http://www.pref.kumamoto.jp/kiji_15526.html
災害情報 - 詐欺や悪質商法、空き巣などの被害に注意  / 御船町ホームページ 
http://portal.kumamoto-net.ne.jp/town_mifune/life/pub/detail.asp?c_id=110&id=1663&type=top

その他、「災害 詐欺 情報」などのキーワードで検索するとたくさんの情報がヒットする。

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4.重要なことは一人で決めず周囲に相談する

災害などの非常時には、自分で思っているよりも焦りや不安に左右され、普段どおりの判断力を失う人も多い。「自分は大丈夫」と思っている人にこそ大きな落とし穴があるので、こんな小さなことでも、と思うことでもまず周囲に「こんな契約をしたらどうかと勧誘を受けたんだけど大丈夫かな」などと連絡・相談するようにしよう。

5.不安があったりトラブルに巻き込まれたら消費生活センターや警察などに相談を

少しでも不安があったり、トラブルに巻き込まれた場合は、自体が深刻化・長期化する前に消費生活センターや警察などに相談しよう。

全国の消費生活センター等_国民生活センター 
http://www.kokusen.go.jp/map/

おすすめの本

おすすめの関連本をいくつか紹介しておきたい。

ニセ医学関連のおすすめ本についてはこちらの拙記事にまとめている。

なぜ人はトンデモにだまされる?
ニセ医学・トンデモ医学のカラクリがわかる本の紹介
http://decinormal.com/2016/04/18/mock_medicine_book/
Digiprove sealCopyright secured by Digiprove © 2016 Yoshiko Soraki
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