私の字が汚かった理由 ―字が汚い発達障害児にはPCを与えよ

この記事の所要時間: 417

発達障害児者には字の汚い人が多い気がする。発達障害者である私の経験から、発達障害者の一部が字の汚くなるメカニズム、不便を乗り越えるための方策について紹介する。

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発達障害者には字の汚い人が多い?

どうも、「字が汚くって…」という当事者が多い気がする。少なくとも私の字はものすごく汚かったし、同様の話を直接・間接に複数聞いたことがある。あなたや周りの当事者はどうだろうか?

私の場合、字が汚すぎて教師からよく怒られた。一度など、数学の教師が激怒して「反省文を書いてもらわなくっちゃ!」とか言ってるから、冗談だと思っていたら本気だったことがあった。

自分の字の汚さには、小さな頃から自分で辟易していた。なんというか、字を書くたびにものすごくイライラするのだ。このイライラの原因がなんだったのかに気づくのは、大学に入ったあとだった。

PCという神器

大学に入ると早々に、情報の授業でPCを触ることになった。そこではゲームを使ってタッチタイプの練習をさせられる。苦痛だったが、2週間ほどでかなり高速なタッチタイプを身につけることができた。

当時はダイヤルアップ接続のインターネットが勃興期。私は毎晩テレホタイムをじりじり待っては、タッチタイプを駆使して夢中でチャットに興じた。痛いテキストサイト(懐)なんかも作った。今となっては思い出すだに変な汗が出てくるが、当時はあれがクールだったのだ。

しばらくして気づいた。自分がもう二度と、ノートに鉛筆で文章を書く気がしないことに。

PCのディスプレイを前に、キーボードをタッチタイプして文章をばかばか入力していくのは快感だった。一文字一文字書かなくてもいい。筆跡の読みにくさに自分でイライラしなくてもいい。消しゴムなんか使わなくても簡単にきれいに書きなおしができる。

私にとって、PCは神器だった。考えたことをスルスルとよどみなくアウトプットすることができる。妨げのなくなった思考がさらなる思考を呼び、それが気持ちよすぎて、目がギンギンのまま気がついたら明け方ということもよくあった。今思えばこれは過集中というやつだ。

私の字が汚かった理由

これがどういうことなのか、自分で分析してみて納得した。私の字が汚かったのは、「思考のスピードに字を書くスピードが追いつかないから」だったのだ。こう考えてみると、自分がいつも字を書こうとするたびに無意識にイライラしていたことにも説明がつく。

特に定型発達の人によく言われるのだけど、私の頭の回転は速いらしい。いっぽうで身体の動作はのろい。実際、のちにWAIS検査を受けたら、言語性IQが高くて動作性IQが低かった(ここについての詳細はまた別の機会に書きたい)。この脳みそと身体で字を書きながら思考しようとすると、速い回転をしていく思考に、のろい動作で書く字が追いつけないのだと思う。

発達障害者の中には、体幹の筋肉が弱くて姿勢をうまく保てない人がいるらしい。あと、両目の視野をうまく統合できない人も多くて、そういう人は正しい持ち方で鉛筆を持つと今書いている字がよく見えないから、鉛筆を変に倒して書く癖がついたりするとも聞いた。

私の場合は、そういったような理由でもともとあまりきれいには字が書けないところへ、「早くアウトプットしたい」というフラストレーションが加わって「雑」になったのだと思う。かくして私の、教師が激怒して反省文を要求するほどの超絶汚い筆跡は完成したのだった。

字が汚い発達障害児にはPCを与えよ

ここを読んでいるような読者はまず間違いなく、PCでもって最低限のインプット・アウトプットができる人物だろう。だからあなたに「PCを使いなさい」と訴えるのは完全に釈迦に説法だ。

訴えがいのある相手がいるとしたら、字の汚い発達障害児の保護者・関係者だろう。もしあなたのまわりに、なぜだかわからないけど字が汚い発達障害児がいたら、ぜひ早めにPCを与えてみてほしい。そして、高速タッチタイピングを身につけさせよう。彼らはおそらく、やる気だとか、教師や親への敬意がないから字をきれいに「書かない」のではなく、なんらかの特性上の理由があって「書けない」のだ。

近視にはメガネを使い、虫歯には詰め物をすることで、近視者も虫歯の人も健常者として生きることができる。技術の発展していなかった古代なら、近視も虫歯も容易に命にかかわる障害だった。いまは技術が発達しているのだから、それをうまく使うことで乗り越えられる不便があるならぜひ乗り越えるべきだと思う。この問題についてはまた機会があれば書きたいと思う。

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